ナレーターQ&A『ナレーターに編集スキルってどこまで必要?』
新企画「ナレーターQ&A」がはじまりました。
ナレーター・声優・司会者など 喋りのプロを目指している方、将来 声の仕事に就きたいと考えている学生さん、
あるいは、学校や仕事の場でのプレゼンや発表など。日常の場でも話をしなければならない機会が沢山あります。
そこで、声、あるいは声の仕事に関する質問やお悩み相談を募集し、
プロのナレーター&教員である菊地マリコが、声の仕事、プレイヤー、
コミュニケーションの視点から独自の考えをお伝えしていきます。

【質問#3】
ナレーターにはどこまで編集(録音・整音・DAW)のスキルが必要でしょうか?
プロになるには必須?できないと不利?みなさんどうされているのか気になります。
◆まずは…すっっごく良い質問です!
編集スキルって、実はナレーターの間でも意外と“グレーゾーン”なんです。
「絶対いる!」という方もいれば、
「いやいや、ナレーターは声に集中しなきゃ!」という方もいらっしゃると思います。
でも正直、私・キクマリの場合は、編集スキルが人生レベルで助けになったタイプなんです(笑)
「編集スキルに助けられた系ナレーターキクマリ」と呼んでください(笑)
今日はその本音も含めて、本当に等身大で話してみますね。
◆キクマリ流:編集スキルについての3つの考え方
① 編集を知ると“現場視点”が増えて、ナレーションが変わる!
ナレーターは、狭いブースの中で、『声だけで世界を作る』仕事ですよね。
でも実際には、
クライアントさんのゴール
監督・演出の意図
エンジニアさんの音づくり
作品全体での音の役割
…いろんな視点が絡んで“映像”になっています。
私自身、編集を触るようになってから視野が一気に広がりました。
「ナレーターとしてどう読もうかな?」
だけじゃなくて、
この音量の揺れた部分、エンジニアさんどう処理するんだろう
この語尾ノイズ、あとで整音が地獄になりそうだな…もう一回リテイク相談しようかな
収録素材の“つながり”が綺麗なテイクはどれだろう?
——みたいに、現場の仲間の視点まで一緒に感じられるようになったんです。
これがね、緊張を減らす“安心材料”にもなるんです。
「自分一人で戦ってるんじゃない」って思えるから!!
②(超極秘)編集スキルがあると“案件直結ボイスサンプル”が作れる!
これはマジで超極秘です(笑)誰にも言わんといて欲しい(笑)
——でも本当に、これで仕事が増えたケースが多かったです。
ナレーターの採用は、
“サンプルがあるかどうか”で決まることがものすごく多いです。
けれど——
案件にピッタリなサンプルなんて、
最初から持ってないことの方が多いです…!!!
ですから私は、
案件の雰囲気に合わせて、即席でデモを作って送ることが多かったです。
- 尺感
- トーン
- スピード
- 作品イメージ
こういったものを“その案件専用”に作れるのは、
編集スキルがあるからこそ。
これをやると、
クライアントさんは採用のイメージが一気に湧きます。
「このナレーターさんなら、この案件がそのまま成立するよね!」
という一発OKにつながりやすい。
正直、サンプルがない方より圧倒的に有利になるはずです。
③ スタジオ構築+編集ができるようになると、仕事の範囲が一気に広がる!
私は自分のスタジオを立ち上げて、
国内外のエンジニアさんから技術を学びました。
その結果——
- TV番組
- 劇場CM
- 映画館用のナレーション
- 全国案件
- プラネタリウム番組
など、“超ハイクオリティ音声”が必要な案件にも対応できるようになりました。
つまり、
『ナレーション+スタジオ収録+編集(整音)+納品』までワンストップでできるナレーター
になるんです。
実際、
編集スキルを持っていたことが、私の“セールスポイント”を大きく押し上げました。
ただし!
絶対に同じ道を歩まなくていいです。
だってこれは私の『おもしろ特性』であって、全員の正解ではありません。
◆最後に伝えたいのはこちら
編集スキルが必須か?
——答えは NO!
でも、
“ちょっと触れたぶんだけ、世界がグッと広がる”のは本当だと思います。
それよりもっとも大事なのは、
あなたにしかない個性・特性・好きの方向性。
- 編集が好きならやるとめっちゃいい
- 演技が好きならそこを伸ばすとめっちゃいい
- 雑談・コミュ力が強みならそれが武器
ナレーターに“唯一のルート”なんてありません。
あなたのおもしろポイントこそが、武器になるんです。
これは編集スキルよりも何よりも、
わたくしが一番伝えたいところです。
◆【まとめのポイント】
1. 編集を知ると、現場全体の視点が手に入る
2. 案件直結ボイスサンプルを作れるのは強すぎる
3. でも、編集ができない=ダメでは全くない
4. 大事なのは“あなたのおもしろスキル・個性”
5. 正解はひとつじゃない。あなたの道で突き進め!
◆質問・お悩み募集中!
ナレーターQ&Aでは、皆様からの声のお悩みや、キクマリのお仕事に対する質問にお答えしていきます。
質問は菊地マリコLINE公式アカウントから募集していますので、お気軽にお送りください!
